思い起こしていただきたいのですが、

オオクニヌシは因幡の白兎の一件で娶った『ヤガミヒメ』という妻がいます。

そして今回、スサノオの娘『スセリビメ』を正妻として連れて帰ってきたわけです。

国づくりを進める過程において、地方の神の霊力を取り入れる意味からしても、子孫を増やし繁栄するという意味からしても、ごもっともなことなのですが、とりあえず、オオクニヌシは、、、

恋多き男!

今回はその辺にだけ注目して、ご紹介。

最初の妻であるヤガミヒメは、妊娠中に夫を訪ねて稲羽からやってくる。

スサノオのとこから連れて帰ってきたスセリビメ(正妻)の存在を知る。

遠慮したのか怖かったのか、稲羽へと逃げ帰る。

その途中で出産。生まれた子を木の股に挟んで、実家へ帰る。(なぜ?)

高志国(こしのくに=北陸の方)に『ヌナカワヒメ』という美人がいると聞く。

会いに行って求婚。ロマンティックな歌を送りあったりして盛り上がり、結ばれる。

そろそろ正妻スセリビメ、嫉妬の炎を燃やしまくる。(さすがスサノオの娘)

なんかやばい空気を感じつつ、いそいそと大和へと出征しようとするオオクニヌシ

出かける前に妻へ歌を詠む。

『僕が大和に行ってしまったら、泣かないなんて強がってる君だけど、きっと泣くよね。涙で霧が立ち込めるくらいにね。』

スセリビメは歌を返します。

『あなたは男性だから、他に女も作るでしょ。

しかも若いの。いいのいいの。

でも私は女だから、あなたしかいないのよ。

あなただけなの。

居心地の良い寝室で、

私の柔らかい胸や白い腕に触れたり

撫でたりしながら、

(よそでは他の女にそうするんだろうけど)

ゆっくり休まるといいよ。

さ、どうぞ一杯。』

といって酒を差し出す。

仲直りして抱き合う二人。(今でも仲良く出雲の地に鎮座されています。)

昼ドラばりの盛り上がりです。

二人の愛は確認したけれど、まだまだ妻を娶り続けるオオクニヌシ

タキリビメ、カムヤタテヒメ、トトリノカミと結婚し、多くの子が生まれました。

子供の数は180柱。(日本書紀では181柱)

さすがです。

ちなみにオオクニヌシの別名に『ヤチホコノカミ』という名があります。

『八千矛神』と書くのですが、直訳すると『たくさんの武器・武力を持った神』

でもその『武器・武力』=『男性器』という説もあります…

子孫繁栄は大事なことですからね。

オオクニヌシ、すごいです。

おまけ

スサノオとクシナダヒメを祭る出雲『八重垣神社』には、あちこちに男根があります…

『ほこら』を女性器にみたて、男女の『まぐわい』を表現しているとのこと。

ぜひ出雲詣りの時は、合わせて八重垣神社へ。