天地初発から神々が生まれ、イザナキ・イザナミの国生み・神生み、盛大な夫婦喧嘩からの離別、三柱の貴い神の誕生と、スサノオの破天荒からのきょうだい喧嘩、地上でのヤマタノオロチ退治とスサノオの結婚、とお話は進みました。

ここからは、少し時間がたった後の、出雲の国でのお話になります。

この章の主役はオオクニヌシ(大国主神)

現在出雲大社に祭られている縁結びの神様です。

オオクニヌシには、たくさんのお兄さん(八十神=やそがみ)がいました。

八十神たちは、稲羽(現在の島根県東部)に住んでいるヤガミヒメにぞっこん。

なんとか結婚したいと思い、みんなで求婚のため稲羽へ出かけることにしました。

そう、みなさんご存知、因幡の素兎のお話です。

『因幡の素兎』

ちなみに白兎じゃなくて、素兎です。

末っ子のオオクニヌシは、兄たちの荷物を全部持たされて、行列の一番後ろに従者としてついていくこととなりました。

八十神たちが岬に着くと、そこには毛を毟られ

(むしられ、は『毛が少ない』って書くんですね…余談)、

真っ赤な皮膚で泣いているウサギがいました。

意地悪な八十神

「海水浴びて、潮風に当たって、山の上でうつ伏せてればいいよぉ。」

と言いました。

素直に言うことを聞いた兎はもう大変!!

滲みるし、痛いしで、その苦しみで涙が止まりませんでした。

するとそこに通りかかったオオクニヌシ

兎に泣いている訳を尋ねると、

「私ね、実は向こうに見える隠岐島に住んでたんです。

なんかこっちに渡ってみたいなーと思ったんで、

海に住んでる和邇(わに=サメのことだと言われてます)を騙すことにしたんです。

『兎と和邇、どっちが多いもんですかねぇ?

和邇さんたちたくさん連れてきて、

ここから向こうの岬まで、きれいに並んでごらんよ。

私がぴょんぴょんみなさんの上を跳んで渡って、数を数えてあげるからー。』って。

そして、綺麗に並んだ和邇の上をぴょんぴょん数えながら跳んできたんですけど、

最後の一匹のとこでたのしくなっちゃて、言っちゃったんですよ。

『だまされてやーんの。』ってね…

そしたらあっという間に最後の和邇に取っ捕まっちゃって、毛を剥がされてしまったってわけです。

痛くて泣いてたら、通りすがりの八十神さんたちがアドバイスくれたんです。

『海水に浸かって、潮風に当たって寝ておけ』って…」

オオクニヌシは兎に、

「今すぐ河口に行って、淡水で体を洗っておいで!!

河口に『ガマ』という植物があるから、その花粉の上でゴロゴロしたらいいよ!」

と伝えました。

『ガマ(蒲)』には古くから収斂・止血作用があるとして、重宝されてきたそうです。

兎はオオクニヌシ

八十神はヤガミヒメには振られますよ。

彼女が選ぶのは、あなた様です!」

と予言します。

このウサギの予言は見事的中!

八十神が求婚するも、ヤガミヒメはキッパリと断ります。

そしてなんと、オオクニヌシの妻になる!!と言うのです。

フラれた八十神

怒った八十神

なんと、オオクニヌシを殺すことにします。

まずは、手間山の麓へオオクニヌシを連れていき、こう言います。

「これから俺らが山の上から猪を追いかけてくるから、お前ここで待ってて、その猪をとっ捕まえろー。やんなきゃ殺す。」

しかし、麓で待っていたオオクニヌシのもとに転がってきたのは、猪ではなく火で焼いた大石

オオクニヌシは、大石に潰されて死んでしまいました

主役なのに…

さてさて物語はどうなってしまうのでしょうか。

続きはまた。

ちなみにこのウサギ、ウサギ神として祭られるようになりました。