地上に降りたスサノオ
そしてスサノオ、ついに地上に舞い降ります。
降りた場所は出雲の国(現在の島根県)の斐伊川上流です。
ふと川を見ると、川の上流から『箸』が流れてきました。
「箸が流れてくるってことは、誰か住んでるな?お腹すいたし、行ってみよー。」
クシナダヒメの悲運
川上の家にたどり着くと、そこには老夫婦と若い娘が泣いています。
(オオヤマツミはこれまたイザナキ、イザナミが仲良く生んだ神様のうちの一柱で、山の神様です。)
娘の名は、クシナダヒメ(櫛名田比売)。
なぜ泣いているかと尋ねると、おじいさんは、
「実は私には八人の娘がいたのです。
でも毎年ヤマタノオロチというバケモノがやってきて、一人ずつ食べていってしまいました。
このクシナダが最後の一人。そろそろヤマタノオロチがやってくる時期なのです。」
と答えました。
ヤマタノオロチは、『目は赤カガチ(ほおずき)のように赤く、頭は八つ、尾も八つ。八つの谷、八つの峰に渡るほどに大きく、しかも血だらけ。』の化け物です。
オロチ退治
スサノオ「ねえ、クシナダヒメ、俺にちょうだい。」
おじいさん「ありがたいお言葉ですけど、あなた様がどなたかも知らないので…」
スサノオ「おお、実は俺様、めっちゃ偉い神。姉ちゃん、アマテラス。今、高天原からきたんだよ。(正確には追放だけどw)」
おじいさん「まじですか?!娘、差し上げます!」
突っ込みどころ満載ですが、クシナダヒメをヤマタノオロチから守ることにしたスサノオ。
ヤマタノオロチ退治はこんな感じです。
1)クシナダヒメを守るため、櫛に変身させて、髪に挿した。
2)おじいさんとおばあさんに『八回醸造した強い酒を作って。』
3)おじいさんとおばあさんに『屋敷に垣根を巡らせて、そこに八つの門を作って。』
4)おじいさんとおばあさんに『その門に台を置いて、大きな酒船(酒器)を置いて酒入れて。』
ほとんどの準備をおじいさんとおばあさんにさせてんじゃん。
5)ヤマタノオロチがやってきて、八つの頭をそれぞれの酒船に突っ込んで、がぶがぶと強い酒を飲み始める。
6)ヤマタノオロチ、酔っぱらって、寝る。
7)ここでやっとスサノオ登場。腰に下げていた十拳剣(とつかのつるぎ)を抜き、寝ている蛇を成敗。
8)ヤマタノオロチのしっぽから神々しい剣が出てきた。
9)アマテラスにこの剣を献上。これが三種の神器の最後の一つ『草薙剣(くさなぎのつるぎ)』。
新婚スサノオ
無事にヤマタノオロチを退治したスサノオは、クシナダヒメと暮らす宮殿を作る場所を探します。
今の島根県雲南市あたりにとても『清々しい』土地をみつけたので、その地に宮殿を作り暮らすことにしました。
その土地の名には今でも『すがすがしい』の『すが(須賀)』が残っています。(駄洒落か)
スサノオが宮を建てると、その地からもくもくと雲が立ちのぼりなんとも美しい光景。
そこでスサノオは一句詠みます。
八雲立つ 八雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を
八重の雲がわき起こる出雲に、八重の垣根を、妻を籠らせるために、八重の垣根を作る。その八重の垣根よ。
実はこれ、日本で最初の三十一文字(みそひともじ)です。
そして二人は島根県松江市の八重垣神社で結婚し、幸せに暮らしましたとさ。
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